会社と役員間の取引-経済的利益を受けたとされた事例-(TAINSより) |
2017.11.09

いずれの判断でも、事前にもっと工夫をした対応を心がけることで、すべて否認されるようなことはないようにも感じます。税の専門家として、会社や代表者がやりたいことを見過ごすことなく、合法的な、前向きな提案に置き換えて経営者の気持ちを遵法の方向に導くことは極めて大切であり、また、最終的に顧問先との信頼関係を培う原動力となりましょう。
◆ 理事長に対する貸付金
2015年9月15日付で、東京地裁(Z265-12720) は本件訴訟について”棄却”の判決を下しています。
本件訴訟は、原告(医療法人社団)が「税務調査にて、理事長に対する貸付金の利息について、同理事長への経済的利益の供与(=役員給与等の支払)にあたる」とされて訴訟を起こしたものでした。
◆ 代表者の妻が個人的に使用している車両の取得費等
2012年11月1日公表の国税不服審判所裁決(J89-3-12) で、一部取り消しの判断をしています。
本件は、代表者の妻が個人的に使用するため、請求人(会社)名義で取得した車両について、税務調査にて「本件車両の取得費及び車両関連費用は、代表者に対する役員給与にあたる。また、個人使用目的の車両取得費等を会社の費用に計上したことは隠蔽または仮装による役員給与にあたる」としていた案件です。
審判書の判断では、経済的利益を享受した部分について、”代表者に対する役員給与”とするとしました。
◆ 代表者の債務の肩代わりをした担保株式の売却
2008年7月11日付、東京地裁(Z258-10988)で”棄却”、また、同年12月2日付、東京高裁(Z258-11097)にて”控訴棄却”の判決が下され、これが確定しています。
本件訴訟は、会社がその代表者の銀行債務の担保に提供していた株式が売却されて、売却代金が代表者個人の債務の弁済に充当されたことから、弁済額(保証債務履行損失額)を損金算入して申告したところ、税務署から弁済額にかかる求償権放棄を行ったとして、源泉所得税の納税の告知などを受けた事案でした。
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