【国税庁発表】2018年民間平均給与は545万円(男性)など(一般向け) |
2019.10.09

これによれば、新規求人倍率が高止まりしている状況を表すかのように、1年間勤務した給与所得者数が5,026万人(81万人増、前年比1.6%増)で、給与総額も221兆5,281億円(7兆8,114億円増)と、6年連続の増加となりました。
税理士業界としての関心事は、一般的な平均給与(=給料+賞与)と中小企業(社員数99人以下)の平均給与などであり、これらを中心にご紹介しましょう。本稿は業界に有益な内容のため、全文を一般公開しています。
◆ 男女別で少し詳しく分析すると
● 給与所得者数は女性が男性の10倍強の伸び率に
給与所得者数の内訳では男性が6割を占めているものの、伸び率では女性が男性の10倍以上と、女性の社会参加が進んでいます。背景には、永年のデフレで所得の伸び悩みや老後保障の不安などで、好むと好まざるとに関わらず働かざるを得ない環境があるようです。
性 別 所得者数 伸び率 比率 1人あたり平均給与
・男 性 2,946万人 0.3% 59% 545万円
・女 性 2,081万人 3.5% 41% 293万円
合 計 5,026万人 1.6% 100% 441万円
● 女性の平均給与は男性の半分強
男女の平均給与では、男性の545万円(平均年齢46.3歳、13.7年勤続)に対して女性は5割強の293万円(同46.5歳、10.1年勤続)と、まだまだ女性は付加価値の低い業務に留まっている状況が窺えます。
● 正規、非正規の区分では驚きの格差に!
社員を正規と非正規に区分して平均給与をみると、性別以上の大きな格差が生じていることが判明しています。 格 差
性 別 全体平均給与 正規平均給与 非正規平均給与 非正規/正規
・男 性 545万円 560万円 236万円 42%
・女 性 293万円 386万円 154万円 40%
全体平均 441万円 504万円 179万円 36%
男性の非正規社員の平均給与は236万円で女性(正規社員)の6割強に留まり、男性正規社員との比較では4割強となり、非正規化することのリスクが高いことを物語っています。
◆ 男性55~59歳が686万円で最高に!
● 年齢階層別平均給与
年齢階層別に平均給与をみると、男性は60歳未満までは年齢が高くなるに連れて平均給与も多可君離、55~59歳で686万円と最も高くなっています。一方、女性は年齢による格差はさほど生じていません。
● 業種別トップは「電気・ガス・熱供給・水道業」
平均給与を14業種別にみると、トップは「電気・ガス・熱供給・水道業」の759万円(前年比1.6%増)、続いて「金融業・保険業」の631万円(同2.7%増)となっています。
逆に、最も低いのが「宿泊業、飲食サービス業」で251万円(同0.9%減)で、サービス関連業界は低賃金に留まっているようです。
◆ 社員数100人未満の会社の平均給与は?
税理士業界の顧問先は社員数10人未満が多く、残りも100人未満の中小企業が一般的に。
● 税理士の顧問先規模でみてみよう!
事業所の規模別での分析では、小規模になるにしたがって給与も低い傾向となり、5人未満では男性の平均給与が401.4万円と、全体平均(545万円)の4分の3弱と格差が生じています。さらに、5千人以上の大規模会社平均(681.9万円)との比較では6割弱と1年で280万円もの収入差となっており、生涯収入の差額はマイホーム1軒以上に匹敵しそうです。
事業所規模 平均給与 平均給料 (比率) 平均賞与 (比率) 平均年齢 平均勤続年数
・10人未満 446.9万円 421.8万円 (94%) 25.0万円 ( 6%) 52.5歳 16.0年
・10~29人未満 507.1万円 454.9万円 (90%) 52.1万円 (10%) 48.1歳 12.9年
・30~99人未満 518.3万円 444.0万円 (86%) 74.3万円 (14%) 46.2歳 12.0年
・全体平均 545.0万円 455.1万円 (84%) 89.9万円 (16%) 46.3歳 13.7年
(注) 平均給与が、平均給料と平均賞与との合計に一致していない部分は誤差。
● 中小企業の給料と賞与の比率は?
10人未満の会社では年間給与に占める賞与の比率はわずか6%で、賞与は生活給としての位置づけとなっていないことがわかります。また、30人未満の会社でも年間賞与の比率は10%(半期に26万円強)、100人未満で14%(同37万円強)と、全体平均の賞与比率16%(同45万円)とは格差があることが見てとれます。
◆ 税理士業界の平均給与は?
日税連や総務省の統計データでみる税理士業界の平均規模は、上述でいえば10人未満の事業所となりますが、皆さまの事務所ではいかがでしょうか?
人手不足~特に若手スタッフ~から、経験さえあれば資格にかかわらず、上記平均給与程度にはなっているとの声もありましょう。税理士業界の業務の特色として「記帳代行、決算・申告業務」が収入の大部分を占めていることから、勤続年数が長くなってもそれに見合った給与の増額が図れない状況にあるのも現実です。
加えて、社会保険料負担なども増える一方で、残業規制や有休消化の義務化など働き方改革も動きが加速しています。業務の付加価値かを考えるべき、良い時期かも知れません。
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