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会計事務所のテレワークでの税理士法上の留意点!(一般向け)

2020.05.13

 新型コロナウイルス感染拡大から「緊急事態宣言」下にある状況で、テレワークや在宅勤務を行う会計事務所(税理士・税理士法人)が増えているそうです。もちろん、会計事務所業界ではすべての業務をテレワークや在宅勤務でこなすことは事実上困難ですが、それでも、記帳代行業務などでは入力に必要な資料を自宅に持ち帰ったり、顧問先から送ってもらうといった方法で入手して、月次決算を終えるまでの処理業務を事務所スタッフの自宅で対応しているケースが多いようです。

◆ 税理士法上の問題は?
 日本税理士会連合会でも、現行税理士法下の税理士の業務とテレワークについて検討を進めていたところ、このほど、新型コロナウイルス感染拡大への対応の観点から、緊急に、テレワーク類型のうち在宅勤務に関するFAQを取りまとめています。
FAQは、本稿の最下段をクリックしてご覧ください。なお、SDG相続ドック・グループ以外の一般の方は、SDGグループに加盟されますと、すべて閲覧いただけます。

 日税連の解釈として、税理士としての登録事務所は別途存在しているが、自宅で税理士業務を行うことまでは制限されていないため、自宅でも税理士業務を行えるとしています。
また、税理士法第40条第3項では「2ヵ所目の事務所の設置が禁止」されているものの、臨時に仕事を自宅に持ち帰り税理士業務を行ったり、自宅への来客に対し一時的に税務相談に応じるなどしたとしても、自宅が外部に対する表示の有無等の客観的事実により、税理士事務所と判断される状態でなければ、2ヵ所事務所の問題は生じないものと考えるとの見解を示しています。

◆ 守秘義務の遵守と監督義務の履行
 税理士や税理士法人のスタッフ(所属税理士を除く)が自宅で税理士業務の補助業務を行う場合、スタッフ(使用人等)の監督が物理的に行えないことから、非税理士行為を防止するための一定の制御ができているかどうかが極めて重要になります。
● 守秘義務の遵守
 在宅勤務で、スタッフが顧問先の資料等を自宅に持ち帰るケースでは、守秘義務を遵守できる保管場所等の確保が求められます。
【注意すべきポイント】
 現実問題として、鍵がかかるキャビネットなどでの保管は自宅では困難です。さらに、記帳業務が終了して、月次決算書を出力などした場合、こうした顧問先の秘密資料をどのように保管するかの、現物の保存方法の検討も必要になりそうです。出力帳票にミスがあった場合に、シュレッダーにかけずに、ごみ箱に入れて廃棄するようなことは厳禁と考える必要が。
● 監督義務の適正な履行
 監督義務の適正な履行は、具体的には税理士・税理士法人のスタッフへの監督義務の履行のため、こうした義務はスタッフの業務執行の場所を問うものではなく、スタッフが税理士事務所以外の場所で業務を行う場合であっても”税理士や税理士法人”の監督下にあることが求められます。
 したがって、これらのスタッフへの監督が明確に行われていることを前提に、スタッフが税理士業務の補助業務をの自宅で行うことは可能だとの見解を示しています。
【注意すべきポイント】
 確かに建前上は、スタッフへの業務指示や業務終了後の確認などを行うことは可能ですが、現実問題としては、スタッフの在宅勤務により、担当業務について顧問先との間でトラブルが発生するようなケースでは、日税連の言う「税理士などが明確にスタッフの監督を行っていた」ことにあたるか否かは、今後に問題を残すことになりそうです。

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