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東京の最低賃金が1,041円に!コロナとの合わせ技で中小企業は!(一般向け)

2021.10.26

 2021年10月から、最低賃金が全国平均で3.1%(28円)引き上げられました!コロナ禍での緊急事態宣言の解除などで経済にも良い期待を持てそうな感もありましたが、中小企業にとっては厳しい経済情勢に加えての人口減の最低賃金引き上げで、パートタイマー頼りのコストダウンは限界に。
 そこで、最低賃金の引き上げの詳細と日本の労働生産性は6割しかないといわれる米国の最低賃金事情をご紹介しましょう(出典:英和グループの「最低賃金法による最低賃金引き上げ」の記事)。

◆ 最低賃金は、東京と神奈川がツートップに!
 2020年に1,000円の大台を突破した両都県が28円アップの1,041円と1,040円で、他の道府県を大幅に上回りました。この10月1日から適用ですので、両都県ではこれを下回る賃金では違反になってしまいます。
● 最低賃金は首都圏と関西圏が高い!
 10月から緊急事態宣言が解除されたとはいえ、中小企業にとっての景気実感は2年前(=コロナ禍前)には及ばない状況にあります。
 それでも、首都圏では東京、神奈川、埼玉(956円)、千葉(953円)が950円超の最低賃金となり、続いて関西圏の大阪(992円)、京都(937円)、兵庫(928円)が920円以上、あと900円台は愛知(955円)、静岡(913円)、三重(902円)の合計10都府県だけでした。
 大都市に企業も、資金も、経済も集中するため、どうしても経済格差が生ずるようです。

● 最も低い最低賃金も800円超えに
 前年最低賃金が最も低かった7県(792円)も820~824円に引き上げられています。最低賃金が低い県は九州・四国、中国地方の島根・鳥取、東北に集中しており、人口の減少と経済の疲弊のダブルパンチで、経営者も厳しい状況におかれているのでしょうね。ちなみに、東京との格差は2割強程度しかありません。コロナ禍での最低賃金の大幅引き上げですので、パートなどを中心に事業運営する中小企業では経営面で打撃を受けそうです。

● 最低賃金ってなに? 
★ 最低賃金制度とは
 最低賃金法という法律により、「国が賃金の最低限度を定め、一方、使用者(経営者)は最低賃金以上の賃金を支払わなければならない」という制度です。
 ちなみに、最低賃金を下回った賃金しか支払わないと、最低賃金との差額を支払わなければなりません。地域別最低賃金以上支払わないと、50万円以下の罰金が科されます。
★ 最低賃金には2種類ある!
 毎年10月頃改定の都道府県ごとに定められる「地域別最低賃金」と、特定の産業だけに設定される「特定最低賃金(全国で228件=2020年4月1日現在)」とに分類されます。
 一般的には、「地域別最低賃金」を下回らぬよう、特にパートなど時給者の賃金が最低賃金を下回っていないかの確認が欠かせません。もちろん、月給者も同様です。

◆ 最低賃金の上昇はパートさんの社会保険加入義務化に!?
 社会保険に加入要件の一つとしてよく言われるのが、年収130万円。中小企業を前提に、この年収130万円を考えてみましょう。
● 社会保険の加入義務が生じるケース
 パートさんに最低賃金(東京:1,041円)で、週5日、1日6時間(9:00~16:00)働いてもらうと、ざっと月給は12万5千円で、年収換算では150万円になります。
 このケースでは、週30時間以上の勤務で年収130万円以上ですので、会社はパートさんを社会保険に加入させねばなりません。そのため、パートさんも厚生年金と健康保険の自己負担分を給与から徴収される一方、会社も少なくとも同額以上の社会保険料を法定福利費として負担しなければならず、負担額はざっと年収の2割程度、年30万円強となります。

● 会社が社会保険加入を避けられるケース
 1日5.0時間で週5日勤務だと、週25時間労働となります。月給は10万4千円で、年収で125万円のため、社会保険の加入義務は生じません。
 社会保険は今後も継続して引き上げられる見通しであることと、パート給与の2割相当の法定福利費負担が新たに生ずることから、社会保険加入の受け入れは中小企業にとっては容易ではありません。

◆ 米国の最低賃金事情は?
● 日本の労働生産性は、米国の6割程度でしかない!
 公益財団法人日本生産性本部の「労働生産性の国際比較2020」によれば、2019年の日本の労働生産性は47.9米ドル(4,866円/購買力平価換算)で、一方米国は77.0米ドル(7,816円)と6割も労働生産性が高いことがわかっています。
 残念なことに、日本はOECD(経済協力開発機構)加盟国37か国中21位で、主要先進7ヵ国ではでは最下位に。

● ワシントンDCがダントツのトップに!
 トップは州ではないものの、ホワイトハウスや連邦議会など政治の中心地のワシントンDC(正式名称は「コロンビア特別区」)が最低賃金(時給)15米ドル(1,710円)でトップに。続くのは西海岸カリフォルニア州の14米ドル(1,596円)、第3位はワシントン州の13.69米ドル(1,561円)で、トップ5までが時給13米ドルを超えています。
 米国は格差社会といわれますが、それが最低賃金にも表れていて、テキサス州を始め18州が時給7.25米ドル(827円)で、日本の最低賃金スレスレなのです。トップのワシントンDCとは2倍以上もの差に。
 
 なお、米国の2021年収別最低賃金一覧はSDG相続ドック・グループに加盟いただきますと、自由にご覧いただけます。

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