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全国の最低賃金が大幅アップに! 東京は1,072円に!(一般向け)

2022.09.13

 コロナ禍で打撃を受けた中小企業にとって追い打ちとなりそうな「全国的な最低賃金の改定(引き上げ)」がこの10月からに迫っています。天然資源の高騰から電気・ガス・水道料金の引き上げ、為替の円安による輸入物価の急騰などにより、企業物価に加えて消費者物価まで急激に上昇中などを考慮して、最高額の東京では31円アップの1,072円/時に引き上げられることに。

 8月23日にすべての都道府県で「地域別最低賃金」の答申が行われ、これを受けて厚生労働省では「2022年度の最低賃金」を発表しました。都道府県別に決められた「最低賃金」は10月1日以降【注①】を発効日として適用され、中小企業でもこれを遵守しなければなりません。
 【注①】都道府県により若干発効日が異なります。

◆ 最低賃金の引上げ幅は、軒並み30円台に!
 地域別最低賃金の引上げ幅は、33円から30円までと軒並み30円を突破して、高知県と並んで全国最低賃金だった沖縄(2021年は820円/時)も他県(9県)の最低賃金に合わせて853円/時と、33円も引き上げています。

 大都市圏だけをみると、引上げ幅は30円ないし31円と引上げ幅は穏やかに。
   都道府県    最低賃金     引上げ額    引上げ率
 1. 東 京    1,072円/時   +31円   +2.98%
 2. 神奈川    1,071円/時   +31円   +2.98%
 3. 愛 知     986円/時   +31円   +3.25%
 4. 大 阪    1,023円/時   +31円   +3.13%
 5. 福 岡     900円/時   +30円   +3.45%


 中小企業にとっては、最低賃金の上昇は二重の意味で厳しい問題が。
 最低賃金の引き上げは、パートタイマーなどの人件費の上昇に結び付くとともに、パートで働く人たちには扶養の範囲内(年収103万円以内)や社会保険非加入範囲内(年収130万円以内)といった範囲で働こうとする方も多く、最低賃金の上昇により労働時間を短くせざるを得なくなる点にも問題が生じてしまいます。
 人手不足とコロナ禍での売上確保、企業物価上昇に伴う値上げなどから、中小企業にとっては死活問題にも。

◆ 日本の給与は20年間横ばいはホント!?
● 国税庁のデータによれば、なんと30年も横ばいだった!
 国税庁発表の民間給与実態統計調査から、男性の「1990年から2020年までの平均給与(賞与込み)の推移」を辿ってみました。男性に限定する理由は、女性の平均給与が男性の55%程度と低く、平均給与を押し下げているためです。
 国税庁の最新の2020年分では、1年を通じて勤務した男性給与所得者の「平均給与は532万2千円」でした。参考までに、男女の平均給与は433万1,000円と、2割弱下がっています。

 では、平均給与の推移をざっと辿ってみましょう(カッコ内は1990年を基準としての増減率)。
 ・1990年(基準年):557.8万円    ・1991年(バブルピーク):555.1万円(▲0.5%)
 ・1995年:577万円(3.4%)      ・2000年:558.1万円(0.1%)
 ・2005年538.7万円(▲3.4%)     ・2010年:507.4万円(▲9.0%)
 ・2015年520.5万円(▲6.7%)     ・2020年:532.2万円(▲4.6%)

 男性の平均給与も過去30年にわたって増えておらず、逆に5%弱減っていました。それでも企業が人材採用できた理由は、この間、消費者物価があまり変動しなかったこと、非正規社員の増加などで人件費を抑えられたことによります。
 ニッポンがのんびり過ごしてきた間に、米国の生産性は上昇し続けて1.5倍以上(=日本は米国の6割強レベル)になり、平均給与も韓国に追い抜かれたとか。さらに、円安進行で、米ドル換算の平均給与の差は開いているもようです。

● 消費者物価は11.32%上がっていた!
 1990年の消費者物価を100とすると、「2020年の消費者物価指数は111.32」で、11%強上昇していました。30年で11%なので大したことはないように感じますが、この間平均給与は4.6%ダウンなので、併せて15.92%の負担増に!

◆ 生き残りには、中小企業も給与引上げは外せない!
● 最低賃金から見た日本の給与の上昇
 過去30年で平均給与は5%弱下がっていましたが、最低賃金(東京都の例)からは違った景色が見えてきます。
 20年前の2002年に1時間当たり708円だった最低賃金が、20年後には1,072円へとなんと51.41%も上昇していたのです。同時期(2002年)の男性平均給与は544万2千円で、2020年よりも高かったので、最低賃金の5割アップは際立って感じます。

 中小企業、特に、販売業などでは最低賃金を意識したパートタイマーの活用で凌いできましたが、現実にはそれとて負担が増していたわけです。

● 人財が必要なら、給与引上げを念頭においた経営を!
 2年前(2020年)なら生活が楽だったわけではありませんが、2022年初頭、春先、そして10月からと、続々続く値上げのオンパレードでは、 給与が横ばいの一般消費者にとっては厳しい日常生活が待ちうけることに。

 こうした状況から見えてくるのは、「給与の大幅引き上げで”人材確保!”」です。給与の引上げから目を背けていては、中小企業の事業基盤が危うくなりかねません。人手不足の現状からは、中小企業も人手に頼ることから、(設備投資が必要なケースもありますが)業務の効率化を図り、必要最小限の人員で経営して収益性も高める方向への転換が求められます。
 ざっくりした予想では、「給与は5割アップ!これを先行き5年から10年で実現!」を求められそうです。こうした状況下での生き残りには厳しい前提をおいて将来に備える必要が。

※SDG相続ドック・グループに加盟されますと、SDG会員ページより”2022年度地域別最低賃金一覧表”をご覧いただけます。また会員ならSDG事務局にご連絡いただき次第、”首都圏の地域別最低賃金の推移一覧【2002年~2022年】(SDG事務局編集・作成)”もお送りいたします。

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