税制改正速報!相続前贈与の加算期間など改正!(一般向け) |
2022.12.15

自民党税制調査会(会長:宮沢洋一)は、12月14日までに2023年度税制改正案の方向を示しました。これを受けて、今週中に「与党税制改正大綱」を自民党内でまとめる方向となります。
資産課税、法人課税、所得課税などの中小企業や富裕層に影響ある改正内容に焦点を当ててご紹介します。
◆ 税制改正は、増税一色に!
ロシアのウクライナ侵攻や中国の台湾統一の動きなどにより、”自国は自国で守る体制づくり”の一環として浮上した「5年間で防衛費を43兆円程度」とする方針により、うち1兆円強を2024年度以降に段階的な増税でまかなうもようです。
増税財源は、主に次の3税から次のような増税額(額は2027年度時点)となる見通しです。
税 目 増 税 額
★ 法 人 税 7,000~8,000億円
★ 所 得 税 2,000億円程度
★ たばこ税 2,000億円程度
◆ 中小企業や経営者・不動産オーナーなどへの影響
私たちにとって身近な改正内容について具体的に見てみましょう。
● 身近な資産課税
・相続前贈与の加算期間の見直し: 7年に延長(増税)
加算期間:暦年課税【注】での相続開始前贈与の3年加算は、”7年”に延⻑
また加算対象者は、相続人と遺贈など相続で財産を引き継ぐ孫などです。
【注】暦年(1~12月)に受けた贈与合計額から、基礎控除(110万円)を控除して贈与課税され
る仕組み。
適用時期:2024(令和6)年1⽉以降に受けた贈与から、加算期間の延⻑を適⽤
特例期間:延⻑した4年間(2024~2027年)に受けた贈与は「総額100万円(=年25万円相当)」まで
相続財産に加算しない。
・相続時精算課税: 毎年110万円まで課税しない(減税)
暦年課税との選択制を引き続き維持した上で、相続時精算課税で受けた贈与は、暦年課税の基礎控除とは
別途、毎年110万円まで課税しない。
・教育資金や結婚・子育て資金の一括贈与: 延 長(若干、増税)
所要の見直しを行った上で、適用期限を延長する。
● 中小企業も影響ある法人課税:増 税
湾岸戦争時の多国籍軍の支援時と震災復興財源の確保時に使った手法を用いて、本来の法人税率は変えずに「特例措置を上乗せする”付加税”方式をとる。
【12月16日付与党税制改正大綱決定分追加】
本来の法人税額に4~4.5%を上乗せする形の増税となる。
なお、「課税所得1,000万円で相当の税額控除」を設けるとしており、理論的には中小企業の9割が増税対象から外れるとしている。といっても、賃上げ対応や積極的な設備投資を実施して必死に利益を生み出している中小企業、たまたま土地・株式売却などの臨時利益があった中小企業は増税となり、疲弊しかねない状況に。
● 納税者全員が負担増の個人所得課税
・復興特別所得税: 延 長(増税)
現 行 法:復興所得税は2037年までの25年間、所得税額の2.1%を上乗せしている。
わずか2.1%の付加税で、2022年度ベースで4,624億円もの税収を見込む。
衣替えの改正:現状2.1%の復興所得税は1.1%とし、別途防衛費に充てる目的税(税率:1%)を新設する。
税率合計では、現状の2.1%となる。
延長期間:⇒「復興財源の総額をを確保するために必要な期間」とし、最終決定する。
※オレンジ色の部分は、12月16日付、与党税制改正大綱決定分での追加。
・NISA: 抜本的拡充(減税)
抜本的拡充などについて議論され、非課税保有期間を無期限化する。
・超高所得者への課税措置: 負担適正化(増税)
極めて高い水準にある高所得者層(年30億円超?)に対する所得税の負担適正化のための措置を講じる。
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