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詳報!2024年度最低賃金~東京は1,163円、神奈川が1,162円へ(一般向け)

2024.09.05

 地方最低賃金審議会(都道府県労働局)が国の中央最低賃金審議会へ答申した「2024年度都道府県別最低賃金(本年10月より適用予定)」が公開されました。

 国の審議会では最低賃金引上げ幅の目安を”過去最大の50円”としていたものが、地方審議会はこれを上回る”51円増”の答申となり、「全国平均は1,055円」に達しています。

◆ 緊急速報!具体的な都道府県別最低賃金をチェックしよう!
 上表のように、2024年度の都道府県別最低賃金が事実上決まり、異議申し出手続きを経た後、都道府県労働局長の決定により、10月1日から正式に適用されます(一部地域は2日以降の適用)。
なお、上表は2024年度都道府県別最低賃金に加えて、過去3年間の最低賃金の推移もまとめ、中小企業の経営者の皆さまに「賃金コスト増の推移」を実感いただき、事業のありようの検討の一助としていただけるよう、一覧表化しています。

 この最低賃金は新規採用者だけの適用ではなく、在職者についても最低賃金以上の支給が前提となりますので、社員一人ひとりの生産性の一段の向上と販売価格への転嫁などを検討せざるを得ない状況です。つまり、社内人材は収益源となる分野に集中させて、間接部門や事務処理的業務は外出しにより、変動費化を図るなども重要性を持ってくることに。
● 最低賃金1,100円台乗せは3都府県!
 最低賃金のトップは東京都で1,163円、2位が神奈川県の1,162円で、3位の大阪府が1,114円と、この3都府県だけが1,100円台乗せに。
 続く4位から9位までは次のとおりで、1,000円台乗せは16都道府県となる見込みです。
 第4位 埼 玉 1,078円  第5位 愛 知 1,077円  第6位 千 葉 1,076円
 第7位 京 都 1,058円  第8位 兵 庫 1,051円  第9位 静 岡 1,034円


● 徳島は時給を84円も引上げへ!
 引上げの目安とされた50円を上回る県が続出し、中でも徳島は前年は全国下位2位(896円)にランクインしていたことから、異例の84円アップの980円まで引き上げました。
 これにつられたか、賃金水準の低かった地域を中心に大幅引き上げが相次いでいます。引上げ額のトップ3は、徳島に続く2位が岩手と愛媛の両県で59円、続いて山陰地方の島根58円、鳥取57円と続いています。

 この結果、全国平均の最低賃金は1,055円に上昇することに。

◆ 企業は、最低賃金の支払いが義務付けられている!
 中小企業を含む企業は、「地域別(実際は、都道府県別)に定められた最低賃金(注)」の支払いを義務付けられており、これを下回っての支給は認められません。万一、最低賃金以下でも納得する従業員がいたとしても、それで支給しては問題に。

 また政府は、2035年頃までに全国平均の最低賃金を時給1,500円に引上げる意向ですので、今年の全国平均最低賃金を1,055円とすると、11年後には42.2%もの引上げとなります。
(注)別途、特定産業に従事する労働者を対象に定められた「特定(産業別)最低賃金」もあります。

◆ 最低賃金でも、年収は約200万円にも!!
 最低賃金の引上げはパートタイマーとして働く方にとっては朗報ですが、仕入コストの上昇や価格転嫁の進まない中小企業の経営者にとっては頭の痛い問題です。
● 見方を変えると、大きな負担が見えてくる!
 見方を変えてみましょう。
 仮に東京都の2024年の最低賃金(目安)でフルタイムで働いた場合の年収は195万円強に上ります。
 【計算式】1,953,840円=1,163円×(7時間/日×20日/月)×12ヵ月(賞与ゼロを想定)
 これに通勤手当と社会保険料の会社負担分などを加えると、ざっと年収に15~20%をプラスした『225~235万円』が実際の人件費負担ということに。

 パートタイマーの多くは、年収を103万円(所得税非課税範囲)や130万円(健康保険での配偶者の被扶養者の範囲)に抑える傾向があり、社会保険には加入しないことを想定していますが、それでもフルタイム前提の年収で見ると、中小企業にとっては決して簡単に支払える最低賃金ではありません。

● 本業への人材の集中投下と収益性の向上がキーに!
 それでも、今年は何とか乗り越えられても、2035年までの最低賃金1,500円への引き上げに耐えられるでしょうか。もちろん、最低賃金だけの話ではなく、当然、一般社員の給与水準も最低でも同レベルでの賃上げが必要に。そうしなければ、少子化社会の中での人材確保は非常に厳しくなりそうです。

 視点を変えれば、今後の生き残こりを考えれば、確保しづらい貴重な人材を『本業に集中して、収益力を向上させる!』ことが最重要課題なのです。

【注】欄外をクリックしてSDG相続ドック・グループに加盟いただきますと、速やかに会員ページから最低賃金一覧表をご覧いただけます。

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