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2025年度全国の最低賃金~東京と神奈川が1,200円の大台突破へ~(一般向け)

2025.09.10

 厚生労働省は、地方最低賃金審議会(都道府県労働局内に設置)が国の中央最低賃金審議会へ答申した「2025年度都道府県別最低賃金」が公開されました。

 国の審議会では最低賃金引上げ幅の目安を”過去最大の63~64円アップ”としていたところ、地方審議会はC地域(秋田、高知、沖縄など)の13県プラスB地域の5県の18県が目安を10~30%程度上回る”70円~82円増”の答申となり、「全国平均は1,121円」に達しています。
(本記事は、SDGメンバーの英和コンサルティング(株)の協力により掲載しています。)

◆ 緊急速報!具体的な都道府県別最低賃金をチェックしよう!
 一覧表のように、2025年度の都道府県別最低賃金が事実上決まり、異議申し出手続きを経た後、都道府県労働局長の決定により、早いところで10月3日(金)から正式に適用されます。
 ところが、地方最低賃金審議会での検討は、大幅に最低賃金を引き上げた県を中心に、経営側が退席するなど大荒れとなりました。その関係で、過去は多くが10月中の適用だったところ、2025年度は最下位からの脱出を図る秋田は来年3月31日からの適用とするなど、引上げの影響を緩和させようと13県が12月以降の適用としています。

 英和グループでは、中小企業の経営者の皆さまに「賃金コスト増の推移」を実感いただくため、2025年度都道府県別最低賃金に加えて、過去3年間の最低賃金の推移もまとめて一覧表化しています。
● 最低賃金のトップは、東京都の1,226円!
 最低賃金のトップは東京都で1,226円、僅差の2位が神奈川県の1,225円で、2位までが最低賃金1,200円台乗せとなりました。
また、1,100円台に乗せたところは、3都府県から8都府県に増えています。
 続く4位から8位までが1,100円台に乗せています。
 第3位 大 阪 1,177円  第4位 埼 玉 1,141円  第5位 愛 知・千 葉 1,140円
 第7位 京 都 1,122円  第8位 兵 庫 1,116円


● 最下位ランクの県は、なりふり構わず大幅な引上げを実施!
 昨年最下位の秋田は25%アップの80円の引上げで1,031円として、何とか最下位を脱出。下位ランクの県が名を連ねるC地域では71円から82円もの引き上げが行われました。
 結果的に、C地域で引上げ幅を穏やかにしたところが1,023円で最下位(高知と宮崎)にランクインしました。

 引上げられた最低賃金を受け取る方は悪い気持ちはしませんが、東京(1,226円)や神奈川(1,225円)は別格としても、過去2年間の11.7%アップの全国平均引上げ率だと、他の道府県の経済環境で、中小企業が対応可能か懸念されます。いずれにせよ、全国平均の最低賃金は1,121円に上昇することに。

◆ 企業は、最低賃金の支払いが義務付けられている!
 中小企業を含む企業は、「地域別(実際は、都道府県別)に定められた最低賃金(注)」の支払いを義務付けられており、これを下回っての支給は認められません。万一、最低賃金以下でも納得する従業員がいたとしても、それで支給すると問題に!
● 最低賃金は在職者についても適用が不可欠!
 この最低賃金は新規採用者だけの話でなく、在職者も最低賃金以上での支給が前提となりますので、社員一人ひとりの生産性の一段の向上や販売価格への転嫁などの検討が必須の状況です。
このことは、社内人材は収益源となる分野に集中させて、間接部門や事務処理的業務はアウトソース(外出し)で変動費化を図ることなどの検討の重要性を物語っています。

● 政府の基本方針は最低賃金1,500円台!
 政府は、2020年代(=2029年度まで)に、つまり、あと4年で全国平均の最低賃金を時給1,500円台に引上げる意向ですので、最低の1,500円を前提としても、4年後には33.8%もの引上げが必要です。
ざっと毎年7.5%以上の引上げとなります。
(注)別途、特定産業に従事する労働者を対象に定められた「特定(産業別)最低賃金」もあります。

◆ 最低賃金でも、年収は220万円にも!!
 最低賃金の引上げはパートで働く方には朗報ですが、仕入コストの上昇や価格転嫁の進まない中小企業の経営者にとっては頭の痛い問題です。
● 見方を変えると、大きな負担が見えてくる!
 東京都の2025年の最低賃金1,226円でフルタイムで働くと、年収は221万円に上ります。
 【計算式】2,206,800円=1,226円×(7.5時間/日×20日/月)×12ヵ月(賞与ゼロを想定)
 これに通勤手当と社会保険料の会社負担分などを加えれば、ざっと年収に15~20%を加えた『255~265万円』が実際の人件費負担になります。

 今年の扶養控除の税制改正で、パートの多くは年収を123万円(所得税非課税範囲)など、ご自身や配偶者などの年収に応じて働く時間を抑える傾向があります。中小企業(50名以下)では社会保険への加入をしないことを想定して雇用するなど工夫していますが、フルタイムでの年収負担を考えれば、中小企業にとっては決して容易に払える金額とはいえません。
● 本業への人材の集中投下と収益性の向上がキーに!
 人手の確保が困難な状況の中、無理は承知で何とか今年を乗り越えても、2029年度までの最低賃金1,500円台への引上げに耐えられるでしょうか。
 もちろん、最低賃金だけでなく、一般社員の給与水準も同じレベルでの賃上げが必要です。そうしなければ、少子化社会での人材確保は非常に厳しくなる一方に。

 視点を変えれば、今後の生き残りを考えれば、確保しづらい貴重な人材を『本業に集中して、収益力を向上させる!』ことが最重要課題なのです。

【注】欄外をクリックしてSDG相続ドック・グループに加盟されると、速やかに会員ページから「2025年度地域別最低賃金と過去3ヵ年推移表」をご覧いただけます。

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